(韓国・ハンギョレ紙 2007年2月16日付け)
「”日本の性奴隷犯罪”証言と逆行する日本。全ての日本人にたずねたい!!」
・ ”日本政府による強制的軍事性売買である慰安婦制度は、その残酷である事と規模で、前例がないと考えられる。これは、20世紀最大の人身売買の一つとして、輪姦、強制堕胎、屈辱、性暴力などは、身体不具、死ぬこと、もしくは自殺に帰結された。”
マイケル・ホンダ米国民主党下院議員などが、最近、議会に出した日本軍慰安婦決議案の一節である。 韓国人であれば、大概知っている内容であるが、日本が認めないので、米国人たちまで問題提起をするのである。一昨日、下院外交委員会アジア太平洋小委員会では、慰安婦として、引っ張られていった韓国人二人と、オランダ人一人が初めて、聴聞会証人として出席した。拭うことの出来ない、痛い記憶を吐露したこれらハルモニが願うことは、何よりも日本政府の心からの謝罪だ。
米国下院国際関係委員会は、昨年9月、同じ決議案を満場一致で通過させたのだが、日本側の熾烈なロビー活動に押されて、本会議には上程もされずに、廃棄されたのだった。2001年と2005年にも、決議案が準備されたが、上程されることは出来なかった。日本は、今回にも決議案通過を食い止める為にロビー活動に必死である。手のひらで、天を隠そうとするこんな行動が、果たして民主国家を自負する世界第2位の経済大国の本当の姿であるのか? 全ての日本人に対してたずねたい。
自身も、日本系であるホンダ議員は、”過去の間違いを謝罪して和解する事は、どんなに遅くとも決して遅くはない”と言った。国際刑事裁判所に関するローマ規定(注①)も、集団虐殺と性奴隷・性暴力などは、公訴時効適用を受けない反人道的犯罪として規定する。ところが、日本執権勢力の動きは逆行だ。日本軍が、慰安婦の募集と動員・管理に介入する事実を認定した1993年、河野洋平官房長官談話さえも、行けば行くほど無視されている。安倍晋三総理は、教科書でも、日本軍の慰安婦の関連記述を、無くさなければならないと主張してきた人物である。(注②)
慰安婦問題を完全に解こうとすれば、普通の国家犯罪の処理と同じに、日本政府の心から謝罪、賠償、真相究明、責任者の処罰、歴史教育、慰安碑建立などの措置が取られなければならない。この中で、果たされたことはまだ一つもない。日本は、歴史的間違いで自由になることも、アジア諸国で和解・協力を話すことも、国際社会の指導国になることも出来ない。ハルモニたちは、一人、二人と世を去っている。日本は、これらの血がこびり付いた声を聞くことが出来ないのか。(訳 柴野貞夫)
解説 米下院にホンダ議員(日系)によって提出されたこの「決議案」(下院決議案121)は、戦時、日本軍による”慰安婦”に対して、日本政府が今日まで「曖昧さのない明確な謝罪」を行なって来なかったことに対して、新たに確認をするものである。それに対し、日本政府は「客観的事実に基づかない」と、この決議採択を阻止しようとしている。今回の下院公聴会のファレオマバエガ委員長は、次のように述べている。「文明社会は、人権擁護の為に過去に苦しんだ人々を記憶し、その声を聞き、過去と現在の犠牲者に敬意を表する道徳上の義務がある。さもなければ、新たなホロコーストを起こす危険がある」と語り、この問題の全てを物語っていると私は思う。
注① 2002年、国際刑事裁判所(ICC)の設立条約が制定された。これまでの国際司法裁判所(ICJ)が、国を裁くのに対して、個人を裁くものである。アメリカは、CIAのテロ行為などが、訴追されることを恐れて、主権侵害になるとして批准を拒否している。
注② 安倍首相は、かつて「日本の前途と歴史教科書を考える若手議員の会」の事務局長として、『従軍慰安婦」、「南京虐殺」等、アジアの諸民族に対する、侵略と虐殺行為の正当化と歴史の偽装を、日本の中学・社会教科書に記載すべく、圧力を加えてきた国家主義者であり、また、このような”歴史”を”憲法改悪と軍事大国家”で繰り返そうとする人物である。
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